ニュアンスの似た意味の韓国語がいくつか出てきた時、これらの違いを日本語の語彙だけを頼りに区別しがちではないでしょうか。
しかしそれだけでニュアンスの違いをつかむのは難しいことです。
韓国語の「触る、いじる」などもそうですが、今回はそれらを様々な視点から解説したいと思います。
触る、触れるを意味する語彙
べたべた触るのが「만지다」
만지다は「触る、いじる」という意味で使われ、なんでもかんでもべたべた触るイメージの言葉です。
それ触ったらダメだよ
展示品に触らないでください
肯定分よりも否定文としての使われることの方が多く、「手を触れるな」などはそのいい例です。
そのため子供に「いたずらしちゃダメ」と言いたい時に、만지지 마と言ったりします。
刺激を与えるのが「건드리다」
触ったり、押したり、つついたり、何かしらの刺激を与えるのが건드리다です。
만지다ほどベタベタ触りはしませんが、肉体的・精神的に関係なく「ふれる」ニュアンスを持っています。
人が寝てるのにイタズラしないで
むやみに人の神経逆なでしたらダメだよ
自尊心を傷つけ、傷口に塩を塗る行為だと思います
ちょっかいを出して怒らせたり、むやみに他人の問題に口をはさんでみたり。
あるいは心の傷をえぐるような行為も건드리다なので、あまりいい意味で使う言葉ではないですね。
手をつけるのが「손을 대다」
손을 대다は「手をつける」というニュアンスです。
商品にお手を触れないでください
むやみに首を突っ込んではいけません
まだ手をつけていないです
また손을 대다には「手を出す」という意味もあります。
仕事に手を付けるなどは日本語と使い方が似ているため、覚えやすいのではないかと思います。
何かに接触する「닿다」
닿다は「届く、接する」という意味で、何かに接触することです。
手が触れるか触れないかの間隔です
頭が届くくらい天井が低いです
わずかに触れただけですよ
닿다には「届く」という意味もあります。
心に響いたストーリーです
ちなみに닿치다という単語もありますが、これはものが強くぶつかることなので「ふれる」とは違います。
ここまでが語彙としての普通の比較です。
ニュアンスを視覚化してみる
만지다、건드리다、손을 대다、닿다のニュアンスを図に表してみました。
ニュアンスを視覚化したわけですが、右に行けば物理的、左は精神的な意味合いが強くなります。
上下は接触の度合いを表し、上に行くほど触れる強さはもちろん、接触時間も長くなります。
만지다は接触度が大
만지다は物理的な接触度がMAXです。
触るだけでなく、何かのスイッチを「ポチッ」と押してみたり、とにかくあちこちいじってみる。
そのため禁止の表現で使えば「むやみに触るな」というニュアンスが強くなります。
子供はなんでもベタベタ触るので、만지지 마を使うわけです。
「触るな」という字幕
놓아と話しているセリフに「触るな」という字幕がついている時があります。
놓다は触れるのではなく「離す」という意味なので、つかんだ手を放せという意味です。
しかし触られたくないという意志があるので、「触るな」と字幕を付けていることになります。
건드리다はちょっかいを出す
건드리다にはべったりと触れるような感じはありません。
しかし精神的もしくは肉体的にと範囲は広くなります。
そのためイタズラやちょっかいを出したりという物理的な接触から、人の神経を逆なでしたりといった精神的な行為まで、みんな건드리다で表すことができます。
ちなみに건드리지 마には「むやみに話しかけるな」という意味もあります。
落ち込んでいる人がいたら、そっとしてあげましょう。
손을 대다はギリギリの距離感
손을 대다は触るか触らないかの距離感がポイントです。
「もしあいつに手出したら…」も、ちょっとでも何かしたらというギリギリの距離感であることがわかると思います。
展示品に손 대지마と書いてあれば、「少し触れるだけでも許さない」ということになります。
希少価値の高いものならわずかな指紋がついても困るだろうし、危険物ならそれだけ危ないものであることを示しています。
ちなみに禁止の意味合いがさらに強くなると、다가오지마(近よるな)になります。
こうなると近づくことすら許さないということですね。
닿다は届くか届かないか
닿다も図で見れば全く違うことがわかると思います。
닿다は物がふれたり、軽く当ったりする他に「心に響く」といった使い方もするので、物理的・精神的に広く当てはまります。
しかし接触度は強くないので、そこまで影響力は強くはありません。
もし強い影響やショックを表現したいなら、충격을 주다/받다を使うといいでしょう。
意味が似ている言葉で迷った時は、どんな場面で使われているのかをよく観察してみましょう。
ニュアンスがつかみやすくなります。