「~ならいいのに」
「~だったなら」
「~なら」

-면はバリエーションに富んだ表現ができる一方、その分使い分けが難しくなる文法です。

-면を用いたいわゆる「たられば」の表現にはどんなものがあるのか、ニュアンスごとに紹介していきます。

希望や願望を表す場合

本人の希望や願いを表現する

-면は本人の希望や願望を表す時によく使われます。

나도 키가 크면 좋겠어요.
俺も背が高かったらないいなあ
마법을 쓸 수 있으면 좋겠네요.
魔法が使えたらいいなあ

-면の後ろに좋겠다が入ることで「~ならいいのに」という意味になります。

-면 좋겠다でそのまま覚えましょう。

周囲に望んでいることを話す場合もある

-면は本人の希望はもちろん、まわりに望んでいることに対しても使えます。

더 이상 이런 실수를 하지 않았으면 해요.
次からはこういう失敗はしないでね
매일 만날 수 있으면 좋을텐데.
毎日会えたらいいのにな
우리 아들도 좋은 대학교에 들어갔으면 싶어.
うちの子もいい大学に入ってくれたらいいんだけど

면の後ろにつづく単語は좋다の他に하다や싶다なども使います。

いずれも「~ならば・・・」のようなニュアンスになります。

-면と-았/었으면「現在形と過去形」の違いは?

希望や願望を表す文には-면-았/었으면があります。

現在形か過去形かの違いですが、可能性のないものや低いものには過去形を使うと考えている人は多いかと思います。

나도 키가 더 5cm만 컸으면 좋을텐데.
俺も背があと5センチ高かったらよかったのに

背の高い人にあこがれても、身長はなかなか伸びるものではありません。

まして大人になってしまえば背が伸びることはほぼないので、可能性のないものに-았/었으면を使うと言えなくはありません。

나도 남자친구가 생겼으면 좋겠어요.
私も彼氏ができたらいいなあ

しかし彼氏ができるかどうか、可能性がないとは限らないですよね。

可能性の有無で使い分けているわけではないんです。

強い願望を持っているかが重要

ポイントは本人がどれだけそれを望んでいるかです。

그 사람이 다시 나한테 돌아왔으면 해요.
彼がまた私のところに戻ってきてくれたらいいのに

よりを戻したいと思っても、関係が元に戻るかどうかはわかりません。

しかし人間は「手に入りにくいもの」ほど欲しくなる生き物です。

また-면の前に-만が加わると、さらに意味合いが強くなります。

자발 비 왔으면 한데…
どうか雨さえ降ってくれれば…

日照りが続いて「早く雨が降ってくれ」と願っている農家なら、願いも切実になりますね。

可能性が低ければそれだけ願望も強くなるので、-았/었으면を使いやすくなるわけです。

仮定や推測、条件などを表す場合

「後悔」は自分が主語の文になる

仮定の一つとも言えますが、「あの時~しておけば」という後悔の話は定番の使い方です。

그 때 바로 구입했으면 더 싸게 샀을텐데.
あの時すぐ購入していれば、もっと安く買ってただろうに
그때 내가 그런 말 하지 않았으면 상황이 달라졌을텐데.
あの時あんなこと言わなければ状況が変わってただろうに

-면を過去形と一緒に使い、自分が主語になります。

過去の自分の行いを悔いるのが後悔なので、他人が主語にはならないですね。

「仮定」ではゆるい話をする(AならBかも)

仮定や推測の話をする場合です。

数学っぽくなりますが、「A면 B」すなわち「AならB」のような文章になります。

궁금한 게 있으시면 언제든지 물어보세요.
気になることがあったら、いつでも聞いてください

AならBもありえるわけですが、AだからといってBが成立しなくても構いません。

気になることや聞きたいことがあっても、実際に質問するかどうかは本人の自由です。

나도 서울대 나왔으면 대기업에 들어갔을텐데.
俺もソウル大出てたら大企業に入ってたろうに
나도 돈만 있으면 못하는 거 없어.
私だってお金さえあればなんだってできるよ

一流大を出たからといって成功するとは限らないし、世の中お金で変えないものだってあります。

「行けたら行きます」のように、ゆるーく考えましょう。

「必須条件」なら確約を意味する(Aなら確実にB)

今度は「AならB」が必ず成立する場合。

冬になれば「寒い」ように、Aの時点で「Bの確定」が約束されており、後半の内容が100%成立します。

난 술만 마시면 금방 자요.
私お酒飲むとすぐ寝ちゃうんです
거기에 쓰레기를 버리면 안 돼요.
そこにごみを捨てたらだめだよ

ごみを勝手に捨てたら、その時点で「アウト」です。

몸만 오시면 됩니다.
手ぶらでお越しいただければ結構です

手ぶらでもなんでも、とりあえず「来ればOK」です。

ちなみに手ぶらは빈손ですが、몸만というような表現も使います。

間接話法や-았/었더라に「-면」を使う

間接話法と組み合わせたものを短縮する

間接話法に-면が付くこともよくあります。

間接話法 + -면

-다고 하다 + -면 = -다면
-ㄴ다고 하다 + -면= -ㄴ다면
-라고 하다 + -면= -라면

-다면、-ㄴ다면、-는다면、-라면などを文中に組み込んでいきます。

그게 너라면 이게 누구야?
それがお前なら、こっちは誰だ?
본인이 직접 간다면 몰라도.
本人が直接行くのならまだしも
사장님이 하라면 해야지.
社長命令ならやるしかないじゃん

日本語なら「~だとすれば、~ならば、~といえば」といった感じですね。

-았/었더라と一緒の時は後悔や反省になりがち?

過去の経験を思い出して話す-았/었더라にも-면がつくことがあります。

過去のできごとを思い出しながら、そこに「仮定」を意味する-면が付き、実際にとった行動とは逆のことを想像しながら話します。

끝까지 포기하지 않았더라면 이겼을지도 모르는데.
最後まであきらめてなかったら、勝てたかもしれないのに
좀 더 일찍 나왔더라면 막차를 놓치지 않았을텐데.
もう少し早く出て来てれば、終電逃さなかっただろうに

内容としては後悔や反省に近いものが多くなるかもしれません。

차를 안 가지고 갔더라면 사고는 안 났을텐데.
車で行かなかったら、事故は起きなかっただろうね

もちろん自分のことだけを話すわけではないので、誰かの行動について「~していたなら、~していなかったら」と批判するような話にも使えます。

仮定や条件、願望などは人によってとらえ方が多少変わることもありますが、少しづつ慣れていきましょう。