丁寧語は相手を上げる(下げる)表現で、いわゆる言葉遣いのことを指します。

日本語なら「です、ます」のように丁寧な口調で話すかどうかなどですね。

ここでは韓国語の丁寧語の種類について解説していきます。

語尾で使い分ける丁寧語は大きく2種類ある

カジュアルな「요体」の文

丁寧語の語尾には大きく2種類あり、一つは-요を使った話し方です。

-요があるかないかで丁寧さが変わりますが、하다で見ると以下のようになります。

相手を上げる ~해요
相手を上げない ~해

요体は日常生活でも使う機会の多いカジュアルな語尾なので、自然に身に着く表現とも言えます。

먹을 게 없어서 슈퍼에 장 보러 가요.
食べるものがないからスーパーに買い出しに行きます
밥 먹으면서 핸드폰을 만지지 마.
ごはん食べながら携帯さわるのやめなよ

-요が付かない時は尊敬の度合いが低くなり、相手を持ち上げない表現になります。

いわゆる반말ですね。

반말の반は半分の半で、言葉の長さが短くなる分だけ丁寧度が下がる言葉です。

フォーマルな「ㅂ니다体」の文

-ㅂ니다はビジネスなど改まった場面で用いることが多い、フォーマルとも言える語尾です。

公式的な場面で用いられるが多く、アナウンサーがニュースを読み上げる時などにも使われます。

요体と同じく相手を上げる語尾とそうでない語尾を使い分けますが、하다を例にすると次のようになります。

相手を上げる 합니다
少し上げる 하오
少し下げる 하네
相手を下げる 한다

こちらは丁寧度が4段階に分かれ、합니다>하오>하네>한다の順に敬意の度合いが下がっていきます。

수백년 전부터 존재하는 성당이고 역사적인 가치가 아주 높습니다.
数百年前から存在する聖堂で歴史的価値がとても高いです
해주항공이 평안항공을 합병한다고 하네.
ヘジュ航空が平安航空を合併するみたいだね

丁寧語はこうした語尾を相手や場面に合わせて使い分けていくことが基本になります。

語彙の使い分けも立派な丁寧語

相手や場面に合わせて語彙を使い分けよう

丁寧語は語尾だけでなく、語彙を使い分けることもあります。

丁寧度が変わる語彙の例

通常の言葉 上げる語彙
下げる語彙

(おまえ)
자네
(君)

(ごはん)

(メシ)
먹다
(食べる)
처먹다
(喰う)
죽다
(死ぬ)
뒈지다
(くたばる)

자네は目下の人を持ち上げる言葉で、日本語の「君」に近いニュアンスです。

語彙の中にはスラングなども含まれるので、使う時は注意する必要があります。

ごはん?メシ?同じ単語でも場面によってニュアンスが変わる

同じ単語でも場面や相手によってニュアンスが変わることがあります。

마무리는 이랑 계란을 추가해서 말아먹었어요.
シメはごはんと卵を追加して雑炊にしました
중간고사가 끝나면 같이 이나 먹자.
中間試験が終わったら一緒に飯でも食おうよ

밥が「ごはん」の時もあれば「メシ」になることもあり、どちらのニュアンスで話しているのかは相手との関係によっても変わります。

점심도 안 먹고 계속 일하는 거예요?
お昼も食べずにずっと仕事してるんですか?
저녁에 친구랑 같이 식사하는 약속이 잡혀 있어요.
夕方に友達と一緒に食事をする約束が入っています

ニュアンスの受け取り方には個人差はあるものの、丁寧に話したい時は식사などの言葉を使うのが無難でしょう。

尊敬語と丁寧語が組み合わせることもある

尊敬表現の「-시」と丁寧語の語尾を一緒に使う

尊敬表現に使う-시を丁寧語と組み合わせると次のようになります。

「-시」と「-요」の組み合わせ

平常 疑問 命令 勧誘
하세요 하세요? 하세요 하세요

-시と-요を組み合わせたのが-세요です。

「-시」と「-ㅂ니다」の組み合わせ

平常 疑問 命令 勧誘
하십니다 하십니까? 하십시오 하십시다

-시と-ㅂ니다を組み合わせると、-십니다になります。

ただし勧誘の表現はそのまま使うよりも하실래요?のような疑問文を代わりに使うことが多いです。

タメ口と尊敬語が混ざった表現もある

尊敬語にタメ口が混ざったような使い方をすることもあります。

아까부터 과장님이 안 보이시는데 너 혹시 알아?
さっきから課長の姿が見えないけど、あなた知ってる?
과장님은 회의실에 가시던데요.
課長は会議室に行かれましたよ

質問者は第三者である課長を「가시다」と持ち上げていますが、話し相手に対しては語尾に-요を入れずタメ口です。

一方で回答者も課長を持ち上げているものの、質問者に対してはため口ではありません。

つまりこの人たちの上下関係は「課長>質問者>回答者」のようになっていることが、この会話から見えてきます。

このように敬語表現は立場によっても、さまざまな要素が入ってきます。

言葉が短くなるほど、互いの距離感は近くなる

韓国語に限らず、どんな言語でも「丁寧な表現になるほど文が長くなる」という法則があります。

同じ意味でも文の長さで丁寧さは違う

뭐라고 하셨습니까?
뭐라고 하셨어요?
뭐라고 했습니까?
뭐라고 했어요?
뭐라고 했나요?
뭐라고 했나?
뭐라고 했어?
뭐라고요?
뭐라고?
뭐요?
뭐?

同じ意味でも、言葉が短くなるほど、丁寧さはなくなっていきます。

距離感も近くなりますが、それほど親しくない相手には「生意気だ」という印象を与えることにもなります。

敬語で迷ったらとりあえず-ㅂ니다もしくは-요で話しましょう。

ちなみに最初は丁寧な口調で話していたのが、だんだんタメ口が増えていくことを말이 짧아지다といいます。