「~していた」を表す、-던と-았/었던の違いについて解説していきます。
2つのニュアンスを正しくつかむためには、時間の流れをしっかりと意識することがポイントです。
-던が苦手な人は、時間軸に注目してニュアンスをとらえてみましょう。
未完了の「-던」と完了の「-았/었던」
「-ㄴ/은」と「-던」の違いがわからないと何もはじまらない
まずは-ㄴ/은と-던の違いを押さえましょう。
これがわからないと、すべて理解できなくなります。
完了の文
それは私が食べた食パンです
-ㄴ/은は単純な過去の話で、すでに動作が終わった「完了」を表します。
そのため食パンが残っていたとしても、再び口にすることはありません。
未完了の文
それは私が食べていたラーメンです
-던は動作が完了していない「未完了」を意味する表現です。
つまり後からまた食べるつもりであることを意味します。
食事を終えていないなら:-던
このようなイメージで考えてみましょう。
ちなみに-ㄴ/은がいまいちわからないという人は、一度動詞の連体形の復習をしてみましょう。
-던と-았/었던の違いは?
-ㄴ/은と-던を理解したところで、次は-던と-았/었던の違いについてです。
これまで乗っていた車を売って、新車を買うことにしました
타던はこれまで乗っていたという未完了なので、その気になれば今後もずっと乗り続けることが可能です。
以前に乗っていた自転車を直してまた乗ることにしました
탔던は過去に乗っていたので、自転車を使用していた時期は一度途切れています。
つまり自転車に乗っていた期間が過去にずれることで、結果的に完了になるのが-았/었던の文です。
「-던」と「-았/었던」のニュアンスを区別するには?
日本語だけで「~していた」を考えない
-던と-았/었던の特徴は、それだけでも完了か未完了かを区別することができることです。
父が(さっき)飲んでいたコーヒーです
母が(以前)飲んでいた紅茶です
ところがこれらの文は日本語ならどちらも「飲んでいた」になります。
つまり-던と-았/었던を「~していた」という言葉だけで区別しようとするからややこしくなります。
-았/었던は比較的わかりやすい
-았/었던は無条件に完了と言ってもいいので、ニュアンスがつかみやすい文になります。
それ本当にお前が使ってたノートパソコンか?
それは弟が着ていたシャツです
「昔使っていた」
「以前着ていた」
過去についての話であることがすぐにわかるので、迷うことはないでしょう。
-던は前後の文脈が重要になる
-던の文はいつの話をしているのかによって意味が変わってきます。
これは私が大学生の時使っていたパソコンです
それは母が幼い時に着てた服です
仮に「大学生の時、幼い時」という部分がなかったら、現在の話ならパソコンは今まで使っていたもので、服もこれまで着用していたものだということになります。
しかし過去の話ならパソコンは以前使っていただけで、服もたまたま出てきただけかもしれません。
つまり-던の文は文脈からいつの話なのかを判断しないと正確な内容がわからないこともあるのです。
相対時制により未完了が「完了」になる
-던の文はいつの話をしているのかが重要といいましたが、これを「時制」と言います。
相対時制: 過去の「ある時点」を基準に話をする
昨日運動してる人達をたくさん見ました
운동하는と現在形を使っていますが、昨日のこと(相対時制)なので運動そのものはすでに終わっています。
この相対時制に-던が組み合わさると、次のようになります。
さっき出入り口にいた人たちはどこに行ったの?
さっき見た時は出入り口に人がいたので、未完了の있던を使っています。
しかしその人たちはどこかに行ってしまった「完了した」ので、現在出入り口に人はおらず、文自体は過去の話になっています。
このように-던は時制との組み合わせも重要になります。
「-던」には別の使い方がある
過去の習慣的な行動を思い出す「-던」
던にはもう一つ別の使い方があり、過去に何度も繰り返していた動作、習慣的に行っていたことを話す時にも使われます。
僕が小さい時に通っていた学校です
小学生の時よく見たアニメなのか?
ここでは「学校に通っていた、よくテレビを見ていた」という過去の習慣的な行動を表しています。
未完了の「~していた」というニュアンスとは異なる使い方です。
繰り返し行っていた行動にも「-었/았던」を使うことがある
過去に繰り返し行っていた行動を表現する時にも-았/었던を使うことがあります。
テレビでよく見かけた気がします
あの時はお互い忙しくて頻繁に会ってたわけではないです
この場合-던と-았/었던に大きな違いはありません。
-았/었던の方がより過去の話をしていて、現在とは隔たりがあるものの、そのあたりの感覚には個人差があります。
したがって気にせず使いましょう。
「-었/았던」には『一回きり』の意味もある
-었/았던は「一回きり」のニュアンスとして使われることもあります。
昨日バス停で会った人は誰ですか?
あの映画を見ながらすごい泣いていたのを思い出します
韓国で行ってみたことのない所はどこですか?
動作が完了するという点では-ㄴ/은と似ています。
ただし単に過去の話をするというよりは、一度きりのニュアンスが強い表現になります。
これも他のパターンと違う、少し変わった使い方です。
-던の文はニュアンスは一見難しく見えますが、話の流れや前後の言葉を見れば、内容をちゃんと判断できるようになります。
日本語と似たような使い方になっている部分もありますが、どんどん使ってみましょう。