韓国語には「雨」に関する表現がたくさんあります。
というより、ありすぎてどれを使えばいいのかわからなくなっている人も多いと思います。
そこで使用頻度の高い「雨の言葉」を紹介したいと思います。
雨の強さと種類
雨が降るのは비가 오다あるいは비가 내리다と言いますが、これに雨の種類を組み合わせることで、どんな雨が降っているのかを表現をしていきます。
まずは「雨足の強さ」で分類したものを紹介します。
안개비(煙雨)
안개とは霧のことで、日本で言う煙雨(えんう)に近いと思います。
雲の中にいるような感覚といえばいいでしょうか。
煙のようにくもって見える雨が煙雨です
もっとも弱い雨とも言えます。
는개비(霧雨)
細かい霧状の雨によって、遠くまで視界が利かない状態をイメージしてみましょう。
朝目を開けると霧雨が降っていました
안개비よりも雨粒は大きくて強くなります。
이슬비(細雨)
霧雨ほど雨粒は小さくないものの、そこまで大きい粒の雨でもありません。
水たまりに小さい雨が跳ねているような感じを想像してみましょう。
細かい雨が降ってる程度なら、傘をささない人も多いです
このくらいなら傘を指さない人も多いのではないでしょうか。
雨の名前からついた焼酎?
水蒸気が冷えてできる水滴のことを이슬といいます。
焼酎やウィスキーなどのお酒は、アルコールを蒸留させて作りますが、その過程は水蒸気ができる原理と同じです。
そのため眞露の「露」は、この原理が名前の由来になっていると言われています。
他にもアルコールの製造原理から名前がついた焼酎には참이슬もありますが、これも「이슬」がそのまま名前に入っています。
가랑비(小雨)
雨足も見えるようになり、油断すると服が完全に濡れます。
小雨は強い雨ではないけど、傘をささなければ服が濡れますよ
가랑비にはこんなことわざもあるくらいです。
小雨で服が濡れると思わなんだ
小さなことでも積み重なると大事に至るという意味です。
장대비/보슬비(しとつく雨、しっとり降る雨)
장대[장때]とは長い棒や竿を意味し、雨足が棒のような筋となって見える雨です。
暴風雨ほど強くはないですが、しとつく雨なので決して弱くもなく、長時間降り続けば冠水やや浸水が起こる可能性もあります。
南部地方では朝から雨がしのつくものと見られます
また似たような雨に보슬비というのもあります。
除幕式には雨がしっとりと降る中、多くの人が集まりました
보슬비は音もなくしっとりと降る感じの雨です。
억수비(どしゃ降りの雨)
バケツをひっくり返したような雨、いわゆるどしゃ降りで、こうなると傘は役に立たなくなってしまいますね。
ものすごい勢いで降る雨がどしゃ降りです
突然どしゃ降りになって、ちょっとカフェに避難してきました
天気予報では강한 비や호우、あるいは큰비などと呼ぶことが多いかもしれません。
降り方による雨の呼び名
호우/폭풍우/뇌우(集中豪雨、暴風雨、雷雨)
今度は雨の降り方から名前を見てみましょう。
明日の午前まで集中豪雨が続く見込みです
今ソウルは暴風雨に見舞われています
雷雨になりそうな空だね
雷や風を伴って降る雨は호우(豪雨)、폭풍우(暴風雨)、뇌우(雷雨)とどれも漢字語です。
また치다は雨風や雪などが激しく、打ちつけるように降る時に使います。
큰비/강한 비(大雨、強い雨)
強い雨、いわゆる「大雨」のことです。
江原道から慶尚道で大雨が降ると予想されます
朝から首都圏ではとても強い雨の降るところがあるでしょう
天気予報で큰비や강한 비という言葉が出てきた時は雨対策を万全にしておきましょう。
소나기(にわか雨、通り雨、夕立)とゲリラ豪雨
俄(にわか)には「一時的、かりそめ」という意味があり、一時大量に降る雨をいいます。
東部地方を中心に通り雨の降る所があるでしょう
一過性の雨が何回か続けば「通り雨」
夏の夕方に降るにわか雨を「夕立」
このように分けて呼ぶ場合もありますが、まとめて소나기でOKです。
所々にゲリラ豪雨が降るので特に注意してください
ゲリラ豪雨は기습소나기あるいは기습적인 소나기などと呼ばれますが、기습(奇襲)という言葉が使われるのはゲリラ的に雨が降るからですね。
地域を変えながら強い雨が降るゲリラ豪雨にも備えておきましょう
またキャスターによっては게릴라소나기という言葉も使うので、こうした言葉が出てくれば短時間に大量の雨が降ると考えていいでしょう。
진눈개비(みぞれ)
霙(みぞれ)と言えば、雨と雪が混ざって降るあれです。
今日はプサンにもみぞれが降ったみたいですよ
午後に入ると北部地方では、みぞれに変わるでしょう
日本語のみぞれと同じ感覚で表現していいと思います。
여우비(天気雨/日照り雨)
空は晴れているのにちょっと降る雨、いわゆる天気雨は여우비と呼ばれ、日本語の「狐の嫁入り」に相当します。
また韓国には天気雨を表す言葉として、호랑이가 장가간다(虎の婿入り)というのもあります。
韓国版「狐の嫁入り」ですね。
日本と韓国の天気雨
天気雨を表す言葉も、日本と韓国では由来が異なります。
日本の狐の嫁入りの由来
狐は古来より人に化けるなど、妖怪のような不思議な力をもつ動物とされていました。
晴れているのに雨が降るという不思議な状態も、狐の力によって化かされているかのような感覚に喩えたと言われています。
地方によっては「狐雨、狐の祝言、狐の嫁取り」などの表現があります。
韓国の狐の嫁入りの由来
昔むかし、愛し合っていた狐と雲がいました。
しかしある日、狐は雲に別れを告げ、虎と結婚してしまいます。
悲しみに暮れた雲は太陽に隠れて一人涙を流し、その涙は雨となったそうです。
雲が太陽の後ろに隠れて涙を流したので、晴れているのに雨が降るのだそうです。
「虎の婿入り」は狐の嫁入りに対して後から男性を示す言葉として出てきたとか、普段は単独で生活する虎が、交尾の時だけ雄と雌が一緒になることからできたという説もあります。
日本と韓国ではずいぶん違うんですね。
全部わからなくても、とりあえず소나기くらいは覚えておきましょう。