韓国語能力試験(TOPIKⅡ)を受ける人が最も難しいと感じるのが「書き取り」の問題だと思います。
難易度が高い上に制限時間が短く、書かなければならない文量も多いからですね。
しかしこの壁を越えられれば、TOPIKⅡで高得点を狙うことも可能になってきます。
作文で高得点を取るために必要なことは?
どんな問題が出る?その種類は?
書き取り(쓰기)の問題は大きく3つに分けることができます。
TOPIKⅡ(書き取り)の問題は?
1.文脈を読み取る問題
2.事実を述べる問題
3.考えを述べる問題
したがってこれらに合った対策をしていくことが必要になってきます。
作文の採点基準はどうなってる?
書き取り問題は試験対策として採点基準を知っておくことも大事です。
作文はどこを見ながら採点される?
1.解答として十分なものになっているか
聞かれたことにちゃんと答えているか。作文問題はまずこの点を意識しましょう。
2.適切な語彙や文法の使用
きちんとした文語で書かなければならないので、口語や普段使っている言葉をそのまま書き込んでしまうと、それだけ減点されてしまいます。
3.論理的な文章になっているか
とにかくマスを埋めようとするあまり、内容がめちゃくちゃになっていないか。文章の構成にも気を配りましょう。
質問に対して書き言葉で論理的に答える。
要はこれだけなのですが、それが簡単にいかないのが作文の難しいところでしょう。
原稿用紙の使い方も押さえておく
作文は原稿用紙の使い方も重要です。
せっかくいい文章を書いたとしても用紙の使い方が原因で減点されてしまったら、もったいないことです。
正しい用紙の使い方を覚えて、確実に点を取りに行きましょう。
穴埋め式の問題
文脈を読む力が必要になる
書き取りで最初に出てくるのが「穴埋め式の問題」です。
これは文章を読んで( )に入る内容を答えるという形式になっています。
第41回TOPIKⅡ
問題の文章は公示文からメールまで様々です。
どんな文なのかをしっかりと把握し、適切な言葉を( )に入れていきましょう。
なんでも한다体で書けばいいというものではない
作文は-ㄴ다や-는다といった한다体で書くのが基本です。
しかし穴埋め問題の解答ではそうでないケースもあり、語尾には気をつける必要があります。
例えば次のような問題の場合。
第41回TOPIKⅡ
文章中の語尾は-ㅂ니다や-ㅂ니까になっています。
ということは答えを한다体で書くと、そこだけ不自然な文になるということです。
なんでも한다体で書けばいいというものではなく、出題された文に合わせた語尾の選択にも気を配りましょう。
200~300字の文を書く問題
グラフなどの資料がよく出てくる
200~300字の作文で「事実を述べる問題」です。
グラフやアンケートの結果といった資料がよく出てきます。
第41回TOPIKⅡ
解答はこれらの内容について説明をすることになります。
情報を簡潔にまとめることを意識して書いていくといいでしょう。
余計なことは答えなくていい
文字数を稼ごうとしてか、聞かれてもいないことを書いてしまう人がいます。
例えば次の問題は「대중매체(メディア)がどのように分類できるか」について問われています。
第37回TOPIKⅡ
図から読み取れる情報に従って説明をすればいいので、「メディアは印刷媒体(인쇄매체)や電波媒体(전파매체)、通信媒体(통신매체)に分類できる」といった内容を書いていけばOKです。
ところが「インターネットの普及が進むにつれ、テレビを視聴する人は減ってきている」とか、資料にはないことを書いてしまう人がいます。
たとえそれが本当だとしても、図にはそういった情報はないですよね。
余計なことは書かず、聞かれたことにしっかり答えましょう。
600~700字の長文を書く問題
客観的な意見が求められる作文
最後の長文は「考えを述べる問題」です。
私はこう思いますとか意見を書くわけですが、必ず「理由とセット」になります。
また試験なので客観的かつ論理的な文章を書かなければいけません。
早い話が説得力のある理由にもとづいた意見を書けということになります。
具体例を挙げて書いていく
客観的な意見を書けと言われても、何を書けばいいか悩んでしまう。
そんな時は「具体例を挙げる」ということを意識してみましょう。
「~なので」といった理由を書く時に、具体的な話を加えるということです。
こうすることで文の客観性も上がり、誰もが納得しやすい文になります。
作文では満たすべき「条件」が示される
600~700字の作文は韓国語で小論文を書くようなものですが、長文といっても完全な自由作文ではありません。
必ず「テーマ」が与えられ、これに沿った内容であることが求められます。
次の問題を見てみましょう。
第52回TOPIKⅡ
この問題であれば、
・意志の疎通がうまくいかない理由は何か?
・意志の疎通を円滑にするための方法は何か?
こうした問いに答える形で自分の意見をまとめていくということです。
ところで客観的な文にするために具体例などを挙げると言いましたが、与えられたテーマに合った例やネタを考えると書きやすくなると思います。
作文で客観性のある文を書くためには
いきなり本文を書かない
試験対策で作文の練習をする時はいきなり本文を書いていくのではなく、構成を考えることから始めましょう。
例えば금연에 대한 자신의 생각을 쓰라「禁煙について自身の考えを書け」というような問題が出たとします。
これに対して、まずは「4段階」で構想を立てていきます。
作文の構成は4つが基本
1.考えや主張を述べる
2.考えや主張の理由を示す
3.理由を裏付ける具体例を出す
4.結論としてまとめる
具体例と言われてもピンと来ない人は自分の主張が正しいことを裏付ける「証拠」を示すと考えてみましょう。
試験でも「構成」を考えてから書こう
禁煙について考えた結果、次のような構成になったとします。
1.금연이 필요하다고 생각한다.
禁煙は必要である(主張)
2.담배에는 발암물질이 포함되어 있어 건강에 악영향을 미친다.
たばこには発がん性物質が含まれており、健康に悪影響を与える(理由)
3.흡연자는 비흡연자에 비해 암 발생률이나 사망률이 높아진자.
喫煙者は非喫煙者に比べて、がんの発生率や死亡率が高くなる(具体例)
4.그래서 우리 모두 담배를 끊아야 한다.
だからみんな禁煙すべきだ(結論)
大まかな内容ができたら、あとは本文を書いていくだけです。
実際の試験でも構成を考えてから作文に取り組むと内容がまとまりやすくなるでしょう。
事実を最優先に挙げてみよう
具体例を挙げようにも迷ってしまったら「事実」を優先的に考えてみましょう。
例えば次のような会話があったとします。
新しいゲームが欲しい夫に対し、妻は「前に買ったゲームを一度しかプレイしていない」ことを理由にダメだと言っています。
こうした「事実にもとづいた理由」には高い説得力があります。
医者が出す本や論文も臨床試験などのデータを集め、科学的な根拠に基づいているからこそ、みんな納得します。
一般常識や誰もが知っていることも利用しよう
一般常識なども説得力のある理由として最適です。
だから酔っぱらっている人に対して「これ以上の酒は控えろ」と言うのは当然のことですね。
理由として使えそうな事実が見当たらない場合、一般的に知られていることなどを具体例に考えてみましょう。
主観的な理由では説得力が下がる
理由が主観的になると説得力は下がってしまいます。
問題なさそうな気もしますが「本人には安かった」のであって、第3者にはそうでないこともあります。
1パック490円のいちごが安いと感じる人もいれば、高いと思う人もいるように、みんな「安さの基準」は違います。
人によってとらえ方が変わるものを理由として書くのは避けた方がいいでしょう。
TOPIKⅡの作文の練習をする
過去の問題をやってみよう
作文の練習として一番いいのは、過去の試験問題をやってみるのが一番です。
TOPIKの過去問題を公開しているサイトがあるので、利用してみましょう。
過去に出題された問題を解くことで傾向や対策としてはもちろん、本番の試験の予行にもなります。
試験勉強には過去問も積極的に利用しましょう。
予想問題集を購入する
過去問を公開しているサイトからダウンロードできるのは問題と回答のみで、解説などはありません。
問題さえあれば自分で何とかできるという人はいいですが、解説なども欲しいという人は市販されている問題集を利用して勉強するのもいいでしょう。
韓国語能力試験の対策本や教材は種類も豊富ですが、この二つが無難なところではないかと思います。
客観的な意見を文章で書くというのは簡単なことではありません。
少しづつ練習して試験に挑みましょう。
ちなみにどんな試験でも論述問題で一番大事なことは「かっこいい文章にしてやろう」と力まないことです。