「ある程度の語彙は知っているはずなのに聞き取れない」
韓国語学習者の中で「壁にぶつかっている」と感じている人の悩みで、一番多いのはこれではないでしょうか。
なかなか聞き取りが伸びない、韓国語が聞き取れない理由には大きく3つあります。
韓国語が聞き取れない理由
苦手な発音や音の変化がある
어と오の区別がつかない、平音と濃音の区別がしっかりできていないといった、個々の発音で苦手なものがある場合です。
苦手な発音がある?
인촌 / 인천
살 / 쌀
個々の発音がしっかりと身についていないために聞き取りにくくなる
簡単に言えば、こういう違いがわからないケースです。
「苦手な発音が足を引っ張ることで、内容がわからなくなる」とも言えます。
連音化、鼻音化、流音化など、発音の変化にはいろいろありますが、自分が苦手なものに重点をおいて練習を積んでいくことで解消していきます。
語彙が難しくてわからない?
専門用語が多いなど、言葉そのものがわからないケースで、初級から上級まで関係なく起こります。
そもそも「未知の言葉や知識」はネイティブにだってわからないし、聞き取れなかったからと言って落ち込む必要はありません。
コツコツと勉強を続け、語彙を増やすことで聞き取れない言葉は少しづつ減っていきます。
ちなみに方言がわからないのも、このパターンに入ります。
文章での発音の変化に対応できていない
さほど苦手な発音もないし、語彙力もあるつもりだけど、聞き取れないという場合は、文章での発音の変化に対応できていないかを疑ってみましょう。
実際の会話では、単語ごとの発音の変化に加えて「長文ならではの音の変化」が発生します。
短い単語から長い文になることで発音が変わるケースもあるわけですが、これに対応できていないわけです。
これは文章での練習を積んでいくことで、聞き取り能力がアップします。
教科書には載っていない「文章での発音の変化」とは?
教科書にない「流音化」が起こる
長文になった時に起こる発音の変化に対応できていないため、聞き取れないことがあると言いましたが、どういうことでしょうか。
文章レベルでの発音の変化というのは、띄어쓰기(分かち書き)をまたいで起こる発音の変化のことです。
例えば次の文を見た時、発音に変化が起こる要素は見当たりません。
勇気を出して告白しました
しかしこれを「文章レベル」で見ると、次のようになります。
勇気を出して告白しました
分かち書きをはさんで流音化が起こっていることがわかると思います。
내서の前にある「ㄹ」が原因です。
教科書にない「ㄴ添加」は難しい
教科書には出てこない「ㄴ添加」にも注意です
昨日仁川駅で会った女性を江南駅で見かけました
教科書通りの発音の変化によって、역にㄴ添加が起こると「인천녁、강남녁」となりますね。
これに文章レベルの変化が加わると、次のようになります。
昨日仁川駅で会った女性を江南駅で見かけました
さらにㄴ添加が起こっていることがわかります。
만난の「ㄴ」と여자の「여」がぶつかるからです。
教科書にない「鼻音化や連音化」が加わると…
基本通りにはいかない鼻音化や連音化もあります。
この本じゃなくて、別の本はないですか?
見たところ없나요[엄나요]の鼻音化しかないようにも見えますが、どうでしょうか。
この本じゃなくて、別の本はないですか?
やはり文章になったとたん鼻音化や連音化が起こっていることがわかります。
実際の会話ではこのような変化が頻繁に起こっているわけです。
「助詞の省略」でも発音は変わる
口語はどれだけ短い言葉で意志を伝えるかが重要になることもあるため、文語と違って助詞の省略が頻繁になります。
ところがこの「助詞の省略」でも発音が変わることがあります。
省略なし
東側の国と西側の国が相争いました
省略あり
東側の国と西側の国が相争いました
助詞が省略されただけで、こんなに発音が大きく変わってしまいます。
「知っているはずの言葉が聞き取れない」という人は、こういう音の変化にも注目して練習しみましょう。
レベルに合わせた聞き取り対策
音読で3つの弱点を補強する
聞き取り力をアップさせるには三つの原因をなくしていけばいいわけですが、手っ取り早い方法は例文などを声に出して読む「音読」です。
特に自分が苦手とする発音は徹底して練習しましょう。
苦手な発音ができるようになれば、音の違いも自然と聞き取れるようになります。
特に받아쓰기は「聞き取り力」をつける練習としておすすめです。
初級向けの音読には教材に付録している音声が便利
いきなり音読しろと言っても難しいし、お手本があると心強いでしょう。
そこで初級の学習者におすすめなのが、「教材についてくる音声CD」です。
ゆっくりかつ丁寧な音声が入っているので、個々の発音や音の変化の基本を身につけるべき初級レベルに向いています。
CDの音声を真似しながら、発音してみましょう。
中級からの音読にはさまざまなメディアを活用しよう
中級から上級向けの教材の音声は例文のスピードも上がり、文章レベルの発音の変化も増えていきます。
それらをシャドーイングやオーバーラッピングしてみるのもいいでしょう。
あるいは「ドラマのセリフなど」を真似しても構いません。
イントネーションなどもすべて「モノマネ」する気持ちでやります。
慣れるまでは大変ですが、繰り返すことで「聞き取る力」が高まっていくので、チャレンジしてみましょう。
シャドーイングとオーバーラッピングって?
遅れて声を出すのが「シャドーイング」
シャドーイングとオーバーラッピングについても簡単に説明しておきます。
シャドーイングとは音声を聞きながら、少し遅れて声を出していく練習方法です。
自分:・・・오늘은 날씨가 좋습니다.
音声と声を出すタイミングはこのようになります。
影が自分についてくるように基準となる音声に続いて声を出すわけです。
同時に発声するのが「オーバーラッピング」
オーバーラッピングは音声と同時に発声する方法です。
自分:오늘은 날씨가 좋습니다.
音声に自分の声をかぶせ、同じタイミングが発声するのが特徴です。
シャドーイングやオーバーラッピングは教材の文章を見ながら声を出してもいいし、内容が頭に入っているなら何も見ないで練習してもOKです。
韓国語の学習に使える教材は様々で、それらをどのように使っていくかは勉強する人の自由です。
こうしなきゃいけないというものはないので、自分に合っている方法を探しながら、いろいろ試してみてください。