二重母音とは「単母音」が組み合わさってできる音のことを言います。
韓国語を勉強し始めて間もない人が必ずぶつかる壁とも言えますが、二重母音は3つの種類からなり、ヤ行の音・ワ行の音・その他に分けることができます。
ヤ行の二重母音
i(イ)の母音を含んだ音
y「や・ゆ・よ」は日本語では子音として扱われますが、韓国語では母音となります。
ㅑ(ya)
ㅣからㅏに続く感覚で、口を大きく開けて「ヤ」と発音しましょう。
ㅒ(yae)
「ㅣ+ㅐ」の音で、これも「ㅏ」と同じような口で「イェ」と声を出します。
ㅕ(yeo)
ㅣからㅓに続くイメージで、「ヨ」と発音しましょう。
ㅖ(ye)
「ㅣ+ㅔ」の音で、これも「ㅓ」と同じような口の大きさで「イェ」です。
ㅛ(yo)
ㅣからㅗに続く音で、唇を丸くすぼめて「ヨ」と発音しましょう。
ㅠ(yu)
「ㅣ+ㅜ」の音で、「ㅜ」のような唇の形で「ユ」と声を出します。
短母音ができれば、二重母音もできる
二重母音は、言ってしまえば、短母音を順番に発音するようなものです。
ㅕにはㅣ(i)の音が含まれているので、ㅣからㅓを早く発音すれば「ㅕ」になります。
つまり短母音ができていれば、これらの二重母音もできるということです。
二重母音が苦手な人は、短母音の発音をしっかりと押さえておきましょう。
ㅒとㅖの口の開き具合の差
ㅒとㅖはそれぞれ「이と애、이と에」の組み合わせからできています。
ㅏの口 | ㅓの口 |
---|---|
ㅏ | ㅓ |
ㅐ(ㅏ+ㅣ) | ㅔ(ㅓ+ㅣ) |
ㅒ(ㅣ+ㅐ) | ㅖ(ㅣ+ㅔ) |
ㅏの口で「イェ」と発音すればㅒ
ㅓの口で「イェ」と発音すればㅖ
2つの差で迷ったら「ㅏとㅓ」に戻りましょう。
とは言うものの実際の会話で「ㅐ、ㅔ」と「ㅒ、ㅖ」の発音を区別して話すことはまずないでしょう。
ワ行の二重母音
o(ㅗ)・u(ㅜ)の母音を含んだ音
w「わ」の音も韓国語では母音となります。
와(wa)
日本語の「ワ」と、ほぼ同じ感覚です。
ㅟ(wi)
「ㅜ」の唇の状態からスタートして「ウィ」です。
ㅝ(wo)
日本語の「ウォ」に近い感覚で発音しましょう。
ㅙ(wae)
口を大きく開け、ㅐの口で「ウェ」と声を出しましょう。
ㅞ(we)
ㅜからㅔを順番に発音するくらいの気持ちで「ウェ」です。
ㅚ(oe)
口は大きく開けず、少しすぼめるくらいで「ウェ」と声を出します。
「ㅏ > ㅓ > ㅗ」と同じく、「ㅙ > ㅞ > ㅚ」の順に口を開く大きさが小さくなっていきます。
ㅙ、ㅞ、ㅚは細かく気にしない
実際の会話では、ㅙ、ㅞ、ㅚの違いをいちいち気にしません。
大学教授ですら「3つの発音の違いはあってないようなもの」と言うくらいです。
特に「ㅙとㅚ」は韓国人もよく間違えるので、気にする必要はありません。
書く時だけしっかり区別しておけばいいでしょう。
ハングルの基本母音って?
「ㅏ、ㅑ、ㅓ、ㅕ、ㅗ、ㅛ、ㅜ、ㅠ、ㅡ、ㅣ」の10個を基本母音と言います。
読み書きの際の基本になる音で、身近なものではパソコンのキーボードなどに見られます。
キーボードには「基本母音」が設定されており、これと子音と組み合わせることで、文字入力がスムーズにできるようになっています。
ところで基本母音には「ㅑ、ㅕ」といった二重母音も含まれます。
そのため発音の練習は短母音から二重母音へと練習していくといいでしょう。
의は毎回発音が変わる
単独で発音する時は「으이」のイメージ
ㅢの発音はㅡとㅣを順番に発音するイメージです。
ㅢ(ui)
「ㅡ+ㅣ」の音で、口を横に開いて「ウイ」と発音しましょう。
ㅡとㅣはどちらも口を横に広げて発音し、舌の高さは少し変わります。
ㅟと違って唇は丸くすぼめないのがポイントです。
単語の先頭では「의」で発音、二文字目以降では「이」になる
의は単語や文中のどこにいるのかによって発音が変わります。
単語の先頭では「의」
의식:意識
의무:義務
의리:義理
의사소통:意思疎通
単語の先頭にある時は、そのまま「의」の発音となります。
二文字目以降では「이」
정의[회이]:正義
강의[회이]:講義
이의[이이]:意義
민주주의[민주주이]:民主主義
의が二文字目に来る場合などでは、発音は「이」となります。
子音と一緒になると「이」で発音
子音と組み合わさった場合、의は「이」の発音となります。
무늬[무니]:模様
경희대[경히대]:慶熙大
씌우다[씨우다]:かぶせる
띄어쓰기[띠어쓰기]:分かち書き
子音と組み合わせると前後の位置は関係なくなります。
こういうルールがあるという程度にして、結局はそのまま覚えるしかないでしょう。
助詞의の時は「에」の発音
助詞としての의では発音が「에」になります。
친구의[친구에]:友達の
언니의[언니에]:姉の
어머니의[어머니에]:母の
아빠의[아빠에]:父の
「~の」という意味で使う時は「에」で発音するということですね。
ところで韓国政府の要人などが記者会見の場で文書を読み上げる時に、助詞의をそのまま「의」と発音していることがあります。
ただ一般会話とは違うので、普段は助詞의の発音は「에」で問題ありません。
二重母音は音の強弱と口の形の変化がポイント
口の形が変わるのを意識する
二重母音の一番の特徴は、発声の始めと終わりでは口の形が変化することです。
たとえば「ㅘ」は、ㅗの口の形からスタートし、最後はㅏの時と同じようになります。
「ㅟ」もㅜで始まり、ㅣで終わるまでに口の形はやはり変化します。
始めて二重母音の発音を練習する人などは、この口の形の変化を意識するといいでしょう。
主音と副音の関係
二重母音はそれぞれの母音が同じ条件で組み合わさったわけではなく、どちらかの母音が発音により強い影響力を持っています。
これを「主音」と呼びますが、二重母音はこの母音の発音をより強く意識することが大事です。
母音 | 副音 | 主音 |
---|---|---|
ㅘ | ㅗ | ㅏ |
ㅝ | ㅜ | ㅓ |
ㅟ | ㅜ | ㅣ |
基本的には後にくる母音が主音になります。
イメージとしては「副音:主音=4:6」くらいの音の強さを意識するといいでしょう。
ちなみに뭐を「머」と発音する人もいますが、これはㅝでは「ㅓ」の音の方が強いためです。
二重母音は発音の際に口の形がどのように変化するのか、口のどの部分が動くのかを意識するのが上達への近道です。