どこの国でも「タクシー料金とぼったくり」の問題はセットです。
韓国にも外国人(だけではないが)を狙った悪質なタクシーが存在しないわけではありません。
ところで韓国タクシーのぼったくりと言えば「料金メーターを不正に操作している」というような噂を聞きますが、本当なのでしょうか。
メーターの不正操作はできないのが普通
料金メーターは進化している
以前は料金メーターの不適切な操作によって運賃をつり上げ、高い金額を請求するといったことがありました。
しかし2013年以降に導入された新型の料金メーターによって状況は変わります。
新しいメーターはデジタル式で運行に関するデータがすべて記録されるほか、不正防止プログラム(조작방지프로그램)が組み込まれています。
そのためメーターの不正操作はできなくなりました。
深夜料金などもメーターが自動計算
深夜(0時~4時)の運行や営業エリア外までの走行によって発生する「割増し料金」も、新しい料金メーターでは自動で計算されるようになっています。
つまりドライバーが勝手に操作して料金をごまかすようなことはできません。
また新型メーターの設置は義務になっています。
つまり料金メーターの不正操作によるぼったくりを心配する必要はないということですね。
メーターを不正改造するとどうなる?
メーターの違法改造には「3年以下の懲役もしくは罰金1000万ウォン」と厳しい処分が待っています。
普通にソウル市内を流しているタクシーにとって違法メーターはリスクが大きく、使っている可能性は低いでしょう。
ただし違法コールバンなど、そもそも正規のメーターを使っていない不法タクシーは平気でぼったくりをします。
こういうタクシーさえ利用しなければ大丈夫なのではないでしょうか。
ぼったくり対策は「予防」が大事
タクシーが「遠回り」するか心配?
料金メーターの不正操作と並んで気にする人が多いのが、わざと遠回りをして運賃をつり上げることです。
しかし今のタクシーにはナビも付いてるし、道路状況によって目的地までの最短ルートは変わります。
また遠回りしたとしても数千ウォン程度の差にしかならないので、ガソリン代など経費を考えれば、タクシー側にメリットはないと思います。
それでも心配な人は、どこを経由するか指定しましょう。
特に複数でタクシーに乗った際、降りる人の順番と目的地に合わせたルートを運転手に伝えるのもいいでしょう。
違法タクシーには近づかなければ問題ない
まともな営業をしていない違法タクシーに乗ってしまうと、通常の料金からは考えられないような運賃を請求されます。
もし被害に遭ったとして、車両ナンバーなどを警察に通報しても、どこまで対応してもらえるかはわかりません。
犯人が検挙されれば被害額が戻ってくるケースもありますが、向こうから声をかけてくるなど、変だと思ったタクシーには近づかないのが一番です。
タクシーをつかまえる時のポイント
車体の「色の違い」は当てにならない
韓国のタクシーには車体の色がいくつかあります。
色 | 種類 |
---|---|
シルバー | 個人タクシー |
白 | 個人タクシー |
オレンジ | 法人タクシー |
オレンジ(꽃담황도색)は2010年にソウル市が導入した色で、法人タクシーはこのカラーが基本です。
シルバーや白は従来の色で、個人タクシーにこのカラーが多いのは色の選択が可能だからです。
色の違いで料金やサービスが変わるわけではないですが、不安ならソウル市推奨のオレンジにしておきましょう。
ちなみに個人タクシーでもオレンジの車体はあります。
「帰る方向に」合わせて乗る
タクシーをつかまえる時は自分が行きたい方向と車の進行方向が一致していることも重要です。
道路状況によっては右左折やUターンが面倒になる場合もあり、余計な距離を走れば、その分運賃も上がります。
鍾路から新村に行きたい時
例えば鍾路からタクシーで新村に行こうとした時、東大門へ向かう車線側からタクシーに乗るのは好ましくないですよね。
目的地までスムーズに行くためにも道路の進行方向を確認するといったことは必要です。
タクシーが乗客を拒否することもある
次のような場合はタクシーが「乗車拒否」をする場合もあります。
2.他の運転手と交替する時間が迫っている
3.自分の営業区域でない
4.ドライバーがトイレに行きたい
「3」の営業区域とはお客を乗せることができる基本エリアのことで、ソウル市内であれば車体の上に「서울」と書かれたタクシーじゃないといけないということです。
「4」は運転手も人間だから仕方ないですね。
トイレくらいは行かせてあげましょう。
本当はいけない乗車拒否
営業区域に違反していないのにもかかわらず、目的地によってタクシーが乗車拒否をすることがあります。
深夜にソウル市内から郊外まで走らなければいけないといった時で、そこまで行ってしまうと、次の乗客をつかまえるのが難しくなるからです。
他にも目的地まで近すぎる場合に乗車拒否されることがあります。
タクシーも商売なので儲からない客は乗せないわけです。
こういうのは本当はダメなのですが、なかなか減らないのが現状です。
アプリを使った予約ができる「カカオタクシー」
乗車拒否など、タクシーと乗客のトラブルを解消する手段の一つとして出てきたのが「カカオタクシー」です。
タクシーを呼び出せるアプリで、これを使えば簡単にタクシーを拾えるようになります。
あらかじめアプリに出発地と目的地を入力するので、運転手に行き先を細かく説明する必要はありません。
韓国語が得意でない人にも便利なアプリだと思います。
トラブルを起こしたドライバーには罰が…
カカオタクシーには運転手の評価やクレームの申し入れといった機能が付いています。
タクシーを利用した「時間、場所、運賃、運転手、ナンバー」といった細かい情報がアプリに記録されることで、通報がしやすくなります。
苦情の多いドライバーにはアプリからお客が紹介されなくなるのはもちろん、不当な料金を請求するといった「問題行動」が発覚すれば、タクシー会社(運転手)に高額の罰金がいきます。
こういったことも含めて、タクシーはぼったくりそのものが難しい環境になってきていると言えるでしょう。
客が無断でタクシーをキャンセルするとどうなる?
配車予定時間を過ぎているのにもかかわらず、タクシーが来ない時。
アプリの予約を取り消し、自分でタクシーを拾って帰る人も多いです。
ただしそういう時はきちんと「取り消しの手続き」をしましょう。
無断キャンセルが続いた乗客にはタクシー側から苦情が行き、アプリの使用に制限がかかるなんてこともあるようです。
トラブルがなくなるわけではない
比較的安全にタクシーを利用できるアプリだと言っても、トラブルがないわけではありません。
・配車予定時間を大幅に過ぎてもタクシーが来ないため利用をキャンセルしたら、ドライバーから電話がかかってきて暴言を吐かれた
・近場まで依頼のため運転手が配車の要請に応じず、結局タクシーがつかまらない
アプリでも乗車拒否などはあるんです。
それでもトラブルが減ることを考えれば、カカオタクシーは十分良いアプリだとは言えます。
ぼったくりよりも気を付けることがある?
ぼったくりよりも気を付けるべきことがあります。
夜間一人でタクシーを利用する女性客に対して「暴行をはたらくドライバー」などが、ごくまれにいることです。
気の強い人なら運転手を撃退できるかもしれませんが、韓国人女性もみんなそうとは限りません。
夜はタクシーよりも夜間バスを利用するといった「少しでも危険を避ける意識」を持つことの方が、ぼったくり対策よりもずっと大事なのではないでしょうか。