韓国語も日本語と同じく敬語があります。

そのため相手を呼ぶ時は、場所や人間関係などに合わせて、様々な言葉を使い分けます。

今回はその中でも、韓国語の「あなた」に当たる表現の使い分けについて解説していきます。

相手の呼び方の基本

呼び方は場所や人間関係できまる

相手を呼ぶ前に、まずは相手との関係を把握しましょう。

といっても難しく考える必要はありません。

社会生活の場か 私生活の場か
上の立場か 親しくないか
下の立場か 親しいか

これらを総合的に判断して、呼び方を使い分けることになります。

呼び方に「優先順位」がある?

呼び方には、優先順位というか順番のようなものもあります。

社会生活の場面

社会生活の場では、職業や役職などで呼ぶことが普通です。

①肩書や役職で呼ぶ
②職業や立場で呼ぶ

「肩書や役職」があれば、そちらを優先します。

学校の先生でも「校長」という役職があれば、校長先生と呼ぶイメージですね。

私生活の場面

私生活の場では、名前に-씨を付けて呼ぶのが基本です。

①名前にさん(씨)を付けて呼ぶ
②呼び捨てや2人称で呼ぶ

ただし親しい関係であれば呼び捨てになったり、あるいは2人称で呼ぶようになっていきます。

また言葉遣いも、丁寧語からため口になるといった変化が出てきます。

親しくなりたい相手には、呼び方を変えてみるのもあり?

職場であっても「~さん」と言う場合もあれば、勤務時間外でも肩書で呼ぶことはあるように、大事なのは互いの関係性に合わせた呼び方を使い分けることです。

でないと相手に不快感を与えてしまいますね。

ところで呼び方によっては、ずっと相手と距離感のあるままです。

もし親しくなりたい相手がいたら、肩書ではなく「~さん」にしてみるなど、呼び方を変えてみるのもありかもしれません。

公の場で相手を呼ぶ

目上の人や親しくない相手には「-님」

公の場では「肩書や役職」で呼ぶのが基本ですが、相手が目上もしくは親しくない人の場合。

부장님, 부르셨어요?
部長、お呼びですか?
반장님, 이건 언제까지 하는 겁니까?
班長、これいつまでやるんですか?

肩書や役職の後に「-님」を付けましょう。

「社長様」のような感じになるので、日本語にはない呼び方ですね。

目下の人は役職や肩書のみで

公の場でも相手が下の立場なら「-님」がなくなります。

박과장, 이거 좀 부탁해.
パク課長、これちょっと頼むよ
신중위, 총 가져와.
シン中尉、銃持ってこい

こっちの方は日本語に近いかもしれません。

職業や相手の立場に「-님」を付ける

役職や肩書がなくても、一部の職業や立場の人には「-님」をつけることができます。

다음 고객님(손님), 이 쪽으로 오세요.
次のお客様、こちらにどうぞ
선배님!
先輩!

「職業+-님」の代表といえば、선생님(先生)ですね。

またタクシーやバスなど運転手は、기사님と呼ばれます。

いざって時は「선생님」と呼ぼう

役職や肩書がわからず、かといって「-님」をつけて呼ぶような職業でもないが、それほど親しくもないので、失礼になるような呼び方は避けたい。

そんな時に使えるのが「선생님」です。

医者や弁護士の人に対して「先生」と呼ぶような感覚に近いとでも言えばいいでしょうか。

呼び方に困ってしまった時、役に立つかもしれません。

仕事から私生活まで使える呼び方

名前に-씨(氏)を付ける

公の場からプライベートまで、一通り使える無難な呼び方です。

フルネームもしくは名前に「-씨」を付けましょう。

김지성씨, 오늘은 어떻게 오셨어요?
キム・ジソンさん、今日はどうされました?
지현씨, 그 책은 어디서 샀어요?
ジヒョンさん、その本どこで買ったんですか?

会社などで肩書や役職のない社員などにも用いられる呼び方です。

姓(名字)だけで呼ぶのは犯罪者?

名字にだけ「-씨」を付けると、失礼な呼び方になります。

韓国には同じ姓の人が多すぎて誰か区別ができないからとか、理由はいろいろですが、犯罪者のイメージというのもあります。

ニュースなどでは、逮捕された容疑者の名前を최모씨(崔某氏)のように報道するからです。

したがって姓のみに「-씨」は、使わないようにしましょう。

親しい人や目下の相手に使う呼称

呼び捨てで相手を呼ぶ時「야/야」がつく

親しい相手や目下の人は「名前」で呼びます。

상우, 넌 그 영화 봤어?
サンウ、お前あの映画見たのか?
삼순, 너 빵을 만들 수 있어?
サムスン、お前パンは作れるか?

パッチムがない名前には-야、パッチムがある名前で-아が付きます。

ちなみに男の子に「~군」と言ったり、女の子に「~양」と呼ぶようなケースもあります。

「너」や「당신」など二人称を使う

「お前」や「あなた」といった、代名詞で呼ぶ方法です。

部下や友人など

이거 언제까지 할 수 있어?
お前これいつまでにできる?
이번 일은 자네가 좀 해보게.
今回の仕事は君がやってみたまえ

対等な立場もしくは目下の相手に対して使います。

자네は目下の人間を持ち上げる言葉で、年配の人が使うことが多いです。

恋人に対して

자기야, 퇴근하면 전화해.
仕事終わったら電話して

恋人に対して使う言葉で、呼びかけの際は名前の時と同じく、後ろに「-야」が付きます。

夫婦間の場合

여보, 오늘은 일찍 들어올 수 있어요?
ねえ、今日は早く帰ってこれる?
당신 요즘 무리하는 거 아니에요?
あなた最近無理しすぎじゃない?

여보や당신は、夫婦間で使われる呼び方です。

その他の「あなた」

당신의 꿈을 응원합니다.
あなたの夢を応援します

당신は広告のように、不特定多数の相手を持ち上げる時にも使われます。

당신이 도대체 뭐하는 겁니까?
あんた一体何やってるんだ?

相手を下げる言い方は、日本語の「あんた」のイメージです。

知らない人に당신と言えば、ケンカになるかもしれないので、気を付けましょう。

年上の相手を呼ぶ時に使う言葉は?

親しい関係でも、相手が年上の場合です。

오빠, 우리 친킨 먹으러 가자.
チキン食べに行こうよ
누나, 주말에 어디 갈까요?
週末どこに行こうか?

오빠や누나は本来は身内を指す言葉ですが、恋人を呼ぶ時にも用いられます。

また相手が恋人である必要はなく、知人・友人などにでも使います。

昔はみんな「兄貴」と呼んでいた?

今でこそ女性は年上男性を「오빠」と呼んでいますが、昔は오라버니でした。

오빠は身内に使い、外では男女関係なくだったのが、大学生が오빠を使い始めたことで、「年上男性=오빠になっていきました。

もし오빠と呼ぶには抵抗がある人は、を使ってもいいかもしれません。

その他の呼び方

尊敬の2人称を使った呼び方

尊敬の2人称で、相手を持ち上げるケースもあります。

어러분, 어늘은 15페이지까지 공부할 거예요.
みなさん、今日は15ページまで勉強しますよ
어르신, 하나 여쭤볼게요.
ご老人、一つおたずねします

어르신はちょっと訳しにくいですが、老人を敬った呼び方です。

普段使う言葉ではないので、通常は할아버지や할머니でも十分です。

尊敬の2人称の例

・그대(あなた)
・여러분(みなさん)
・댁(宅)
・귀하(貴下)
・귀형(貴兄)
・노형(老兄)
・어르신

尊敬の2人称は、よく使うものが限られてくると思います。

また恋人を意味する그대は歌詞によく出てきます。

おばちゃんがよく使う呼び方

おばちゃん(おじちゃん)が、突然人に道をたずねる時によく使うのがこれ。

학생, 이거 신도림으로 가나요?
ちょっと、これ新道林に行く?

地下鉄のホームで列車の行き先を知りたいおばちゃんが、若い人をまとめて학생と呼んだりします。

また相手が若い女性なら「아가씨」と言う場合もあります。

お店や屋台では「社長」と言っておけばよし

食堂や屋台などで使えるのが、이모です。

이모님, 여기 갈비찜 하나요.
おばちゃん、こっちにカルビチ一つ
사장님, 삼겹살 하나 추가요!
社長、サンギョプサル一つ追加で!

사장님(社長)も飲食店などで使える最強の呼び方の一つです。

お店でどう呼ぶか迷ったら、とりあえず이모か사장님で何とかなります。

ただし店員が大学生のアルバイトなど若い人の場合は、이모や사장님は使えないですね。

本当に何も思い浮かばない時

相手を呼ぶにも、ちょうどいい言葉が思い浮かばなかった時・・・

저/저기요.
あの/すいません

저기요で「あの」と言って、そこから次の話につなげていきましょう。

知らない人に話しかける時、みんな自然にやっていることですね。

さいごに

最終的に呼び方を左右するのは、相手との「距離間」です。

相手と一定の距離を置いて礼儀を守ることが大事なのか、距離を縮め親近感を高めていくべきなのか。

距離感を意識していけば、外国語でも呼称や敬語の使い分けは自然と身に付いていくでしょう。