壁ドン

韓国語の受け身(受動態)は、日本人が苦手とする表現の一つと言われています。

日本語にも受け身はあるのに、なぜ韓国語だと急に難しくなるのでしょうか。

韓国語の受け身は「日本語との違い」を押さえることが、習得の第一歩になります。

受け身ってどんな文?

能動態と受動態って?

まずは「受け身」がどんな文なのかについて話していきます。

例えばサッカーの日韓戦があったしましょう。

日本が韓国に1点入れた。
(能動態の文)

韓国が日本に1点入れられた。
(受動態の文)

能動態では「日本が入れた」となり、受動態だと「韓国が入れられた」になっています。

能動態というのは「自分が何かをする時」で、いわゆる普通の文のことです。

反対に受け身(受動態)は「もらう側、される側」の立場で表す文のことを言います。

そのため立場が逆になっていることがわかると思います。

韓国語は日本語と違って受け身を使わない?

受け身の文は、能動態と立場(主語)が逆転するからこそ「~される」という文になります。

겅찰이 도둑을 잡았다.
警察が泥棒を捕まえた
(能動態)

立場が入れ替わる
↓↓↓

도둑이 경찰에게 잡혔다.
泥棒が警察に捕まった
(受動態)

ところが韓国語の受け身には、これ以外のパターンもあります。

受け身の表現のパターン

韓国語の受け身の表現は、およそ5種類のパターンに分けることができます。

韓国語の受け身のパターン

1、「~される」と訳せる語彙を使う
2、動詞に-아/어지다が付く
3、受け身の動詞を使う
4、通常の動詞で受け身の表現を作る
5、他人が主語の文章で受け身を表現する

日本語では「~される」と表現する場面でも、韓国語ではそうならないケースがあるため、それらをしっかり押さえる必要があります。

「~される」と訳せる語彙を使う

되다を使った受け身の表現「名詞+되다」

一番わかりやすいのは「되다」を使うパターンです。

생산하다 → 생산되다
(生産される)

결정하다 → 결정되다
(決定される)

「〇〇하다」を「△△되다」にすることで受け身になるパターン。

漢字語+되다は、日本語でもそのまま「△△される」と訳しやすい言葉です。

미국에서 생산된 핸드폰이에요.
アメリカで生産された携帯電話です
입금이 확인됐습니다.
入金が確認されました

直訳に近い表現なので、受け身の文の中で一番簡単でわかりやすいのではないかと思います。

被害を受けるイメージの「당하다」

당하다も受け身としては覚えやすい表現です。

「~された」と訳しやすい당하다

죽임을 당했다.
殺された
무시 당했다.
無視された
거절을 당했다.
断られた

당하다は名詞もしくは名詞形の言葉と組み合わせることで「~される」と表現することができます。

ただし「やられた」というイメージで、よくない出来事などに多用されます。

動詞を受け身に変える「-아/어+지다」

動詞の「-아/어」に지다が付く

普段の会話で「動詞」はどのように使っているでしょうか?

例えば먹다なら먹어요のように、-아요/어요の形で使うことが多いと思います。

実はこの動詞の「-아/어」に지다が付くことでも受け身になります。

이 병원은 1938년에 세워졌습니다.
この病院は1938年に建てられました
주어진 문제를 혼자 해결해야 합니다.
与えられた問題を一人で解決せねばなりません

「建てる」は세우다で、受け身では세워に지다を付けるので세워지다(建てられる)です。

주다は「与える」ですが、される立場に置き換えると주어지다(与えられる)となります。

では、次の文を受け身に変えてみてください。

이탈리아에서 이 자동차를 만들었어요.
イタリアでこの車を作りました。

この文を受け身にすると?

主語を「自動車」に変えて表現すると?

이 자동차는 이탈리아에서 만들어졌어요.
この車はイタリアで作られました

만들다の「-아/어」に지다が付くので、만들어지다(作られる)となりますね。

では少し応用で、次の文の主語はなんでしょうか?

이탈리아에서 만들어진 자동차예요.
イタリアで作られた自動車です

この文の主語はどこに行った?

만들어지다が使われている文ですが、車が主語ではないようにも見えます。

主語はどこに行ったのでしょうか?

こういう文では、ちょっと工夫が必要です。

이거는 이탈리아에서 만들어진 자동차예요.
これはイタリアで作られた自動車です

이것は「自動車」のことを指しているので、車が主語の文と言えますね。

国語の授業みたいですが、こういう使い方もできるわけです。

「-아/어지다」の受け身の注意点

-아/어지다の受け身には、注意すべきことがあります。

-아/어지다の受け身の注意点

動詞の-아/어지다
受け身を表す

形容詞の-아/어지다
変化を表す

同じ「-아/어지다」でも、動詞と形容詞では全く意味が違います。

これは間違える人が多いので、注意しましょう。

受け身の動詞を使う「이,히,리,기」

韓国語には「~される」のような受け身としての動詞がある

動詞が受け身に変化するパターンは「-아/어지다」だけではありません。

韓国語には、受け身の動詞もあります。

受け身にもなる動詞

動詞に「이,히,리,기」が加わることで、受け身の単語ができます。

잡다 +  = 잡히다
안다 +  = 안기다

警察と泥棒の文で「捕まえる→捕まる」の話をしましたが、それと同じようなケースです。

엄마가 아이를 안아요.
お母さんが子供を抱いています
(能動態)

아이가 엄마한테 안겨요.
子供がお母さんに抱かれています
(受動態)

立場(主語)が変わると、目的語や述語もすべて入れ替わります。

受け身の動詞の例

能動態 受け身 受け身の意味
보다 見える
섞가 混ざる
바꾸다 変わる
닫다 閉まる
쓰다 書かれる
쓰다 使われる
살다 生かす
먹다 食べられる
묻다 埋まる
놓다 置かれる
잡다 捕まる
뽑다 選ばれる
읽다 読まれる
안다 抱かれる
듣다 聞こえる

ただ「이,히,리,기」のうち、どれが加わるのかに規則性はないので、そのまま暗記するしかありません。

「~される」と訳さない単語もある

受け身が難しい理由の一つとして、「~される」と訳さない単語があることです。

문이 닫힙니다.
ドアが閉まります

닫히다(閉まる)のような語彙は「~される」と訳せる言葉ではありませんが、発想を変えてみましょう。

バスや地下鉄のドアであれば、運転士がスイッチを操作することで、つまり運転手によって「扉が閉じられる」といったようにです。

방에서 이상한 소리가 들려요.
部屋から変な音が聞こえます

들리다(聞こえる)のような言葉は受け身とかを考えずに、そのまま覚えた方が早いと思います。

「忘れ去られた」は使い方が特別

잊다(忘れる)の受け身は「히」が加わり잊히다ですが、なぜか「잊혀지다」で使われます。

잊혀진 영화배우예요.
忘れられた映画俳優です
한 번 잊혀진 무인도가 다시 주목받고 있습니다.
一度忘れら去られた無人島が再び注目されています

ただしこの場合は、忘れられて時間が経った、とうに忘れ去られてしまったというニュアンスです。

「잊다 + 히 + -아/어지다」で二重受け身とも言えるような使い方で、珍しいケースです。

通常の動詞で受け身を表現する

받다を受け身のように使う

通常の動詞で受け身を表現する方法もあります。

これは韓国語では受け身ではない文だが、日本語では受け身のニュアンスになるケースです。

100점을 맞어서 선생님한테 칭찬을 받은 적이 있어요.
100点取って先生に褒められたことがあるよ
결혼식에 초대를 받았어요.
結婚式に招待されたよ
그 사람한테 고백을 받았어요.
彼から告白されたよ

칭찬을 받다(褒められる)
초대를 받다(招待される)
고백을 받다(告白される)

これらは受け身の語彙ではありませんが、日本語なら「~される」の文です。

つまり「받다」を受け身のように使っているケースです。

その他の動詞で受け身を表現する

받다だけじゃなく、他にこういうのもあります。

브라질이 5골이나 먹었어요.
ブラジルが5点も入れられたよ
누구한테 맞았어요.
誰にぶたれたの?
어젯밤에 도둑을 맞았거든요.
昨晩、泥棒に入られたんです

「サッカーで点を入れられる」
「ほほをぶたれる」
「泥棒に遭う」

これらは直訳できるような表現ではありませんが、どれもされる側の立場の表現です。

ちなみに悪口を言われることを「욕을 먹다」と言います。

他人が主語の文で受け身を表現する

日本語と表現の仕方が全く違う

韓国語には「他人を主語にした文」で、受け身のようなニュアンスを表すこともあります。

언니가 내 케이크를 먹었어.
お姉ちゃんが私のケーキ食べた (o)
내 케이크가 언니한테 먹혔어.
私のケーキお姉ちゃんに食べられた (×)

(×)の文は文法としては間違いではないものの、すごく不自然です。

また主語がケーキではなく「お姉ちゃん」なので、受け身の原則も当てはまらなくなります。

日本語なら「~される」になる場合でも、韓国語では普通の文で表現するので、受け身を使わないってことですね。

어렸을 때 아빠가 영어 공부를 많이 시켰어요.
小さい時、父に英語の勉強をたくさんさせられました

こちらは使役「~させる」にもなりそうな文です。

こういうケースがあるせいで、韓国語の受け身が難しいのではないかと思います。

受け身を使わないケースをどうやって区別すればいい?

日本語では受動態だけど韓国語では能動態になるケースは、判断が難しいと思います。

そこでこれを見極めるための判断基準を一つお教えしたいと思います。

受け身を使うかどうかの判断基準

人>動物>物
人間や動物など「意志をもって動くもの」を優先的に主語にする

人:人、もしくは動物:動物
意識がどちらに向いているかで主語を判断

何かをする側とされる側を比べて、「される側が優位」なら受け身で表現すると考えてみましょう。

모기한테 다리만에도 세 군데를 물렸어요.
蚊に足だけでも3か所くわれたよ
(受動態)
뱀에게 물리는 꿈 꿨어요.
蛇にかまれる夢を見ました
(受動態)

「人>動物」で人が主語になります。

「蜂が私を刺した」とか「蛇が俺を噛んだ」は言わないですね。

그 사람이 내 손을 잡았어요.
彼に手をつかまれました
(彼が手をつかんできた)

彼に手をつかまれたという文も、「彼>手」で優先順位は人である「彼」ということです。

あくまで参考程度にとらえてください。

ちなみに「~と言われる」という表現には、間接話法がよく使われます。

「人対人」でも受け身を使わないケース

人対人でも受け身を使わないケースはあります。

남자친구가 요리를 해줬어요.
彼が料理を作ってくれました
친구가 보쌈을 사 줬어요.
友だちにポッサムご馳走してもらいました

「やってもらった、~してもらった」などは、相手を主語にして話をしますが、こういうケースは慣れるしかないでしょう。

まとめ

1.「~された」と訳しやすい語彙を使う

2.動詞に-아/어지다が付く

3.受け身の動詞を使う

4.通常の動詞で受け身の表現を作る

5.他人が主語の文章で受け身を表現する

受け身は少しづつ勉強していきましょう。