黄牛

외상이면 소도 잡아먹는다「ツケなら牛だって食べる」ということわざについてです。

このことわざは、ちょっと聞いただけでは、どんな意味なのか想像がつかないかもしれません。

また、朝鮮半島の食肉文化についてもお話していきます。

Ads

なぜ大事な牛や馬を食べてしまうの?

외상이면 소도 잡아먹는다「ツケなら牛だって食べる」とは、後先考えずに行動すること、今がよければそれでいいという考えを言います。

家畜としても重要な牛を潰して食べてしまう行為から出てきた言葉です。

牛や馬は大事な動物

牛と農業

朝鮮半島に限らず馬や牛は、古来から重宝されてきた動物です。

馬は軍隊が行動する時に必要不可欠でしたし、牛は家畜としてはもちろん、農作業の場においても重要な役割を担ってきました。

現代では機械が行うようになった仕事を、昔は馬や牛が人間の代わりにこなしていたわけです。

食べ物に困って牛や馬を食べる

飼っている牛

穀物が豊富で貯えのある時期は、食べ物に困りませんが、毎年十分な量を収穫できるとは限りません。

不足する年だってありるし、貯えが底をついてしまったら、動物を殺して食べざるを得なくなります。

身近にいる牛や馬から手を出すのは自然な事ですね。

しかし、こういった理由の他にも、牛を食べることがあります。

Ads

このわざは韓国の食肉文化に由来する?

食肉の習慣の衰退と発展

肉を食べるという文化ははるか昔、古朝鮮の時代までさかのぼります。

ニラ、ネギ、ニンニク、酒などで作ったタレに豚肉を漬け込み、これを炭火で焼いた맥적(貊炙)という料理が朝鮮半島最古の肉料理と言われています。

三国時代に入ると、仏教の影響もあってか「動物の殺生禁止令」が出て肉食の習慣は衰退していきます。

しかし高麗時代に、モンゴル人たちが入ってくるように(元の時代に)なると、彼らの影響を受け、再び食肉の文化が復活していきます。

また、朝鮮時代には너비아니구이という宮廷料理も作られました。
※刻んだネギやニンニク、しょうゆ、砂糖などに漬け込んだ牛肉を焼いたもの

王カルビ

ところで、牛肉を食べれるのは王族など限られた人たちのみで、一般市民は王様が許可した時にしか食べれませんでした

ちなみに水原は왕갈비(王カルビ)など牛肉で有名ですが、これは水原が王の別荘地でもあったためです。

王が別荘を訪れる日は、牛肉を食べることが許可されました。

昔は豚肉の方が高かった?

かつて豚肉は、牛肉の倍の値段がしました。

牛は草を食べればいいので、極端なことを言えば、そこらへんに放牧しておけば育てることができます。

しかし豚を育てるには穀物が必要になるので、飼育にコストがかかります。

豚肉は牛肉より高い

豚肉を食べたくても食べれなかったという方が合っているかもしれません。

今日では牛肉の方が高くなったこと、豚肉が十分に供給されるようになったことで、牛肉よりも豚肉の方が韓国の肉食のメインになっています。

牛肉を食べ過ぎて「禁止令」が出た

豚肉は高いので、牛が肉食のメインだったわけですが、よほど美味しかったのか、どんどん牛肉を食べていきます。

ほどほどにしておけばいいものを、ついには農作業をさせる牛にまで手を出し始めました。

これではまずいと思った政府が、牛馬の屠殺禁止令を出し※、特別に許可が出た時だけ牛肉を食べてもよいということになりました。
※屠殺=食用目的で家畜を殺すこと

どうしても牛肉が食べたい!

韓国の食肉文化

禁止令によって、食用目的で牛馬を殺すことはできなくなったものの、どうしても牛肉を食べたいあまり、合法的に牛を食べる方法を考え始めます。

その一つに「牛の足を折る」というものがありました。

昔は牛を家畜として飼育し、牛乳を採取するという考えがなかったため、足を負傷した牛は農作業には使えず、処分するしかなくなります。

「牛が足を負傷してしまった」と役人に報告することで、堂々と牛肉を食べることができるわけです。

旧正月や秋夕といった명절(名節)が近づくと、「負傷した牛」の報告件数が急増したという記録も残っているくらいです。

役人も意図的に牛の足が折られたのどうか直接見たわけではないので、特例として屠殺を認めることになります。

勝手に牛肉を食べたことがバレると

牛肉を食べる

禁止されているにもかかわらず、勝手に牛馬を屠殺したことが発覚すれば摘発され、処罰を受けることになります。

しかし、役人に賄賂を渡すことで見逃してもらうケースも多く、法律がどこまで機能していたのかは正直疑問です。

現代でも、検察に賄賂を送る大企業の重役のニュースなどを見ると、昔からやってることが変わらない気がします。

Ads

ことわざの本当の意味

ここまで来れば、ことわざの由来がわかってくるかと思います。

食べ物に困って仕方なく牛に手を出したのではなく、今すぐ牛肉が食べたいという欲求に従って行動した結果です。

つまり、「見境なしに牛肉を食べていたら、後から自分たちが困るぞ」という警告をツケという言葉で表現したわけです。

似た意味のことわざ

同じような意味のことわざには、次のようなものもあります。

외상이면 사돈집 소도 잡아먹는다.
ツケなら親戚の家の牛も食べる
외상이면 꺼멍 소도 잡아먹는다.
ツケなら黒い牛だって食べる

「사돈집=親戚」と書いていますが、正確には結婚した身内の配偶者の両親や家族を指します。

要は結婚によって親戚関係になった人のことですが、その親戚の家の牛にまで手を出すという意味です。

외상이면 꺼멍 소 잡아먹는다は北朝鮮のことわざですが、意味は全く同じです。

日本のことわざ

猪突猛進

「後先考えずに行動する」という意味の日本のことわざには「後先見ずの猪武者」というものがあります。

猪のまっすぐ前に進む習性を、敵陣にそのまま突っ込んでいく武士に例えた言葉で、いわゆる「猪突猛進」です。

物事に対してがむしゃらに突っ走っていくので、状況を考えない、思慮に欠ける人を猪に揶揄しています。

まとめ

いくら牛肉好きとはいえ、他人の家の牛をとっ捕まえて食う人もいるくらいぐらいなのだから相当なものです。

また、国が禁止令を出すほどなので、深刻な社会問題だったのでしょう。

しかし牛肉を食べる習慣がなかったら、今日のホルモンやユッケといったメニューもなかったかもしれません。