말하다を「말하기」とするように、動詞や形容詞の語幹に「-기」や「-ㅁ/음」を付けることで、用言を名詞にして使うことができます。
ところが、これらの使い分けに悩む人は多いのではないかと思います。
そこで、用言を名詞化する「-기」と「-ㅁ/음」の違いについて解説していきます。
-기を用いた用言の名詞化
動詞の語幹に「-기」をつけ『~すること』を表現
用言の語幹に「-기」をつけることで、名詞化させることができます。
달리다 + -기 = 달리기
(走る→走り)
놀다 + -기 = 놀기
(遊ぶ→遊び)
하다 + -기 = 하기
(する→すること)
-기をつけることによって、「~する」から「~すること」のように変化します。
「-기」を用いた単語の使用例
名詞化させたことによって、文章中でも名詞と同じような扱いになります。

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ただし「-기」は日本語に訳した際に、単純に「~すること」とはならないこともあります。
가기 전에(行く前に)を「行くことの前」としたら、不自然な文になってしまいますね。
-ㅁ/음を使った名詞形
「-ㅁ/음」の使い方
「-ㅁ/음」も、用言を名詞化させることができます。
パッチムなし
하다 + ㅁ = 함
가다 + ㅁ = 감
크다 + ㅁ = 큼
パッチムあり
있다 + 음 = 있음
했다 + 음 = 했음
変格活用の語彙
걷다 + 음 = 걸음
춥다 + ㅁ = 추움
語幹にパッチムがあるかないかで使い方が変わり、パッチムがない場合は-ㅁ、ある場合には-음をつけます。
ただし걷다など変格活用の語彙は、変化しあとに「-ㅁ/음」を付けます。
「-ㅁ/음」を用いた単語を使った例文
名詞に助詞が付くように、-ㅁ/음にも同じことが起こります。

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一生懸命やったけど、ダメだったよ
-ㅁ/음も「~すること」と訳せない場合はあるので、文脈に合わせて判断することが重要です。

ワシ、こちらトンビ、異常なし
ちなみに「-ㅁ/음」は、無線機でのやりとりにもよく出てきますが、이상없음で「異常なし」です。
-기と-ㅁ/음の違い
2つの違いは時間ではない
-기と-ㅁ/음の違いを、時間によって使い分けると思っている人は多いと思います。
-기:未来のこと?
-ㅁ/음:現在や過去に使う?
しかし結論から言えば「間違い」です。
2つの違いは「既成の事実か」どうかによって変わります。
明確な事実や決まったことがあるかを考える
「-기」と「-ㅁ/음」を使い分けるポイントは、明確な事実や結果が存在するかによって決まります。
過去はもちろん、現在や未来のことでも、これがハッキリしていれば「-ㅁ/음」を使います。
逆にまだ決まっていない、これから結果が出るこには「-기」を使います。
얼음(氷)と얼기(凍る)
水が凍れば「氷」になるというのは、誰でもわかっていることであり事実です。
したがって얼음は「氷」となります。
ところが얼기はまだ凍ってはいないので、これから「凍っていくこと、凍ること」を意味します。
ちなみに얼은 물と言えば「凍った水」ですが、얼음물になると「氷の入った水、氷水」を意味します。
삶(人生・生き方)と살기(生きること)
삶(살음)は、生きてきた事実・結果そのものなので「人生や生き方」を表します。
ところが살기は、これからのことなので「生きていくこと、生きること」を意味します。
韓国語の「生きること」と「人生」は、ニュアンスが違うということです。
これからの「過去」、すでに決まった「未来」
すでに決まったことや既成の事実が、すべて過去のこととは限りません。

明日の午後1時から掲示板に公示します
明日のことでも、すでに公示することは決まっている(明確な事実)なので「-ㅁ/음」を使います。

英語の勉強を始めました
英語の勉強をしてきた実績はまだないので、공부하기になります。
しかし「勉強を始めたこと、決心したこと」は事実なので、시작했음を使っています。
まとめ
1.-기、-ㅁ/음は語幹につく
읽다 + 기 = 읽기
듣다 + 기 = 듣기
하다 + 기 = 함
있다 + 기 = 있음
2. -기はまだ何もしていない、結果が出ていない
가기 싫은데요.
行きたくないな
주의하시기 바랍니다.
ご注意ください
3. -ㅁ/음には既成の事実や結果がある
어제 3시간 공부했음.
昨日3時間勉強した
얼음
水が氷になるのはわかりきってる
事実や結果のないものは、未来のことを言っている場合が多いものの、時間が基準になるわけではないということを押さえておきましょう。