軍人が出てくる韓国ドラマの影響もあってか、-ㅂ니다や-ㅂ니까といった「軍隊の言葉」が以前より注目されるようになりました。

다나까말투もしくは다나까체(タナカ体)などと言われますが、軍隊で使う言葉は敬語表現とは「切っても切れない関係」にあります。

そこで今回は、軍隊の言葉についてです。

※Phote: Republic of Korea Armed Forces

軍隊の言葉、다나까(タナカ)とは?

韓国語には「ドレスコード」が存在する?

韓国語の語尾には、大まかに-요-ㅂ니다/습니다の2種類の系統が存在します。

これはドレスコードのようなもので、「-요はジーンズ、-ㅂ니다はスーツ」のような感覚だと思ってください。

軍隊の言葉遣いは、カジュアルな「-요」ではなく、フォーマルな「-ㅂ니다」を使うのが基本です

-ㅂ니다/습니다は少し機械的な感じはあるものの、形式や規則をキッチリと守らねばならない軍隊にピッタリだからです。

新兵は「-ㅂ니다」を使うよう徹底される

入隊したばかりの新兵は、-ㅂ니다を使うように指導されます。

そのため、普段「-요」を使って話しているような言葉は、すべて「-ㅂ니다」などに言い換えることになります。

어디 가세요? (×)
어디 가십니까? (ㅇ)

こうして常に-ㅂ니다や-ㅂ니까を使うのが、다나까です。

タナカは다나까ではない?

タナカを「다・나・까」と思っている人は多いですが、正しくは다나 까(다の後にスペース)です。

つまり「-ㅂ니다や-ㅂ니까」を使えという意味で、다と나と까ではありません。

話す時に何が変わるわけでもないですが、나は「-나?」ではないというのを知っていると、もしかしたら自慢できるかもしれません。

立場によって語尾が変わる

다나까は、簡単に言えば「上官対してはフォーマルな言葉を使いなさい」というものです。

そのため目上の人間が話す時は、言葉遣いも少し変わってきます。

식사를 하셨습니까?
食事はされましたか?
(部下が上官に)
식사를 했나?/했어?
食事はとったか?
(上官が部下に)

上官が部下に対して話す時は敬語にはならないので、한다や하나、あるいは반말(ため口)が出てきます。

모두 완전군장으로 연병장을 50바퀴 뛰어간다!
完全武装でグランド50周だ
예, 알겠습니다…
はい…

部下に命令を下す時は、한다体なども使います。

軍隊では「-요」を一切使ってはいけない?

요の代わりに말입니다?

軍隊では、原則「-요」を使ってはいけません。

そのためどうしても「-요」を使いそうな部分を「-말입니다」など、他の言葉に置きかえて話します。

좀 어려운데요.
빨리 가시(가시지).
좀 어려운데말입니다.
빨리 가시지말입니다.

時にはちょっと不自然な文になってしまうこともあります。

なんでも「-말입니다」と言えばいいわけではない

「-요」を使うなとは言っても、大事なのは「フォーマルな言葉遣い」です。

バカの一つ覚えみたいに、なんでも「~말입니다」と言えばいいというわけではありません。

맛있게 드시지말입니다.(△)
맛있게 드십시오. (ㅇ)
한 번 해보시지말입니다.(△)
한 번 해보십시오. (ㅇ)

個人差はあっても、あくまでも「変な言葉は使わないようにする」のが基本です。

-요体を使ってもよくなった?

一部の不自然な言い回しが「言語破壊だ」と言われていることもあって、2016年3月から「-요を使ってもよい」ということになりました。

ただし「勤務外」での話であって、訓練や作戦中の命令・指示は、これまで通りタナカで通します。

今までは24時間スーツで過ごさなければいけなかったのが、「家の中くらいはスーツを脱いでもいいよ」という感覚だと思えばいいのではないでしょうか。

これだけでも、だいぶ気は休まると思います。

ちょっと軍隊用語「完全武装」って?

「完全武装」とはヘルメット、防弾チョキ、銃、さらに背嚢(はいのう)と呼ばれる荷物などをすべて身につけた状態のことを言います。

簡単に言えば、山で何泊もできる装備に武器や弾薬を持っている状態です。

完全武装

完全武装になると装備の重さは40キロを越えますが、アメリカ軍や韓国軍、そして自衛隊も、このくらいの荷物を持って訓練に行くことになります。

ちなみに「背嚢」とは軍用のバックパックのことで、野宿できるセットが入っています。

背嚢を韓国語で「배낭」と言い、배낭여행(バックパッカー)もここから来ています。

軍隊の敬語、압존법(圧尊法)って?

日本ではよく使う「相対敬語」

軍隊の言葉の特徴としてもう一つ挙げられるのが、압존법(壓尊法)と呼ばれるものです。
※一般社会に合わせて相対敬語は廃止になりましたが一応解説します

압존법とは相対敬語のことで、目上の人について話をしていても、話し相手がもっと上の立場であれば、話題の人を持ち上げないというものです。

이대리, 박과장 어디 갔어?
イ代理、パク課長はどこ行った?
박과장은 외근 나갔습니다.
パク課長は外回りに行ってます

例えば「キム部長>パク課長>イ代理」のような関係で、イ代理はキム部長の前でパク課長を持ち上げたりはしません。

韓国語よりも日本語の方が、相対敬語を使っているので、イメージはしやすいと思います。

韓国では「絶対敬語」が一般的

韓国では相対敬語よりも「絶対敬語」の方が一般的です。

そのため、会話もこのようになります。

이대리, 박과장 어디 갔어?
パク課長はどこ行った?
박과장은 외근 나가셨습니다.
パク課長は外回りに行ってます

自分より立場が上の人は、無条件に持ち上げていますね。

ただし家庭内では、相対敬語を使うケースもあります。

例えばおじいさんが孫に「お父さんはどこにいったのか」を聞いた時、孫は父を祖父の前では持ち上げたりはしません。

さいごに

適切な敬語の使用は、韓国語を習得する上で、避けては通れない道です。

タナカも含めて敬語の使い方を知っていれば、勉強や仕事はもちろん、あらゆる場面で役立ちます。

覚えておいて損にはならないので、少しづつ勉強してみましょう。